「いつかは自分も…。」介護する側の不安と介護される側の不安が誰にでもあります。そんな介護の不安を少しでも解消することができればと、リハビリ専門職の立場から介護に関することや病気けがの予防等について情報をお届けします。


14回 「お風呂のこだわり」

 わたしの父は大きな病気に2度かかりました。2度目は昨年の10月でした。何とか自宅に退院できたのですが、要介護状態で車いすやベッドをレンタルしています。家の中であればふらつきながら歩くこともできます。母が仕事に出ている時間に、大好きなお風呂にふらつきながら一人で入ろうとします。昔のお風呂なので、浴槽はとても深く(また)ぐのが大変です。うまくいかずに、80㎏以上の体が動けなくなっているのを、帰宅した母が発見したという報告が何度もあります。浴槽を浅くするための “すのこ”も購入しましたが、「肩までつかれなくなるから。」と物置に眠ったままです。

 父は昔から毎日浴槽につかるという習慣があり、これを要介護状態になっても続けようとしています。通所リハビリを利用していますが、血圧の問題でお風呂には入れてもらえないそうです。だから父には家のお風呂しかないんです。母も父の“こだわり”を理解しているので頑張って介護しています。ただ誰もいないときに一人で入るのだけは辛抱してもらいたいと、母と息子は願っています。

※父には許可をとって記事にしております。

お風呂の“語”

 お風呂に手すりをつける人が多くいます。これまで多くの患者さんの自宅で手すりがついたお風呂を見てきました。うまく使っておられる人もいますが、使えていない人も多いと思います。なかには、タオル掛けに変身しているお宅もあります。手すりを使えていない理由は、「欲しい所についていない。」というものも少なくありません。「元々ついていた」または「将来を考えて元気なうちにつけた」がその原因となります。

 お風呂の入り方や思いは人それぞれです。シャワーだけで満足する人もいれば、父のように浴槽に入りたい人もいます。さらに病気や障がいによって、入りやすい方法も変わってきます。手すりなど工事をする必要があるものは、追加することは簡単ですが、一度つけたものは変更が難しくなります。ほかにもお風呂に関する介護用品はたくさんあります。いざ必要になってから、より有効なものを考えるのもいいのではないでしょうか。


13回 「骨粗しょう症」

コープおおさか病院には、骨折後のリハビリを目的に入院される方が多くいます。日本の高齢者に多い骨折は、胸腰椎の椎体骨折、大腿骨近位部の骨折です。ある研究報告によると、令和2年の大腿骨近位部骨折者は25万人だそうです。ほとんどの人が尻もちや転倒による骨折です。ほかに(とう)(こつ)上腕骨(じょうわんこつ)といった上肢の骨折も少なくありません。とりわけ大腿骨の骨折や重症の椎体骨折になると、寝たきりになるリスクが高くなります。寝たきりにはならなくても、車いすや杖が必要になったり、筋力低下などの障害が残る人も多くいます。そのため受傷後のリハビリは非常に重要となります。

 

高齢者が骨折しやすい原因の一つが骨量(骨密度)の低下です。骨の強度が低下し骨折しやすくなった状態を「骨粗しょう症」といいます。人の骨は常に吸収(破壊)と再生を繰り返しています。骨を壊す細胞と骨を作る細胞のバランスが崩れて骨粗しょう症が起こります。おもな原因は加齢による女性ホルモンの低下や栄養不足です。(ほかに病気や薬の副作用によるものもある)

 

骨粗しょう症の“語”

 骨粗しょう症の予防は以下のとおりです。

・カルシウムを十分にとる

・ビタミンD、ビタミンK、リン、マグネシウムをとる

・適量のタンパク質をとる

・禁煙し、アルコールは控えめにする

・運動、日光浴をする

      


12回 「足のむくみ」

「足がむくんできたんよ~。」と、先日訪問リハビリの利用者さんから言われました。靴下を下ろしてズボンをまくり上げると、両方の足首から膝の下までのむくみがありました。「むくみ」は医療用語で“浮腫(ふしゅ)” といいます。浮腫の原因は様々で、加齢による身体の変化や生活習慣によるものもありますが、大きな病気が原因の場合もあります。

生活習慣では運動(歩行)不足や長時間連続した座位や立位、塩分のとりすぎなどが原因となります。病気が原因の場合は片方の足なのか、両方の足なのか、痛みがともなうか、上半身や顔面には出ていないかなど専門的な判断が必要となります。浮腫は症状がひどくなるまで気づかないことが多いですし、素人では判断が難しいです。なかなか症状が改善しないなあと感じたら受診することもおすすめします。病気が原因の場合は医師の治療や指導にしたがっていただく必要があります。もちろん塩分とりすぎを自覚されている人は塩分をひかえてください。

 

むくみ予防の“語”

 むくみの原因となる病気がない場合は、歩行やストレッチ、マッサージで改善する場合があります。「最近あまり歩いていないな~。」と感じている人はウォーキングを頑張りましょう。むくみ予防のためのマッサージに“リンパマッサージ”というものがあります。今回は浮腫の見分け方と足のリンパマッサージの方法を紹介します。

〈浮腫の見分け方〉

①足の甲や(すね)の周辺などを親指で数秒間押す。

②すぐに凹みが戻れば正常、なかなか戻らなければ浮腫の可能性あり。

 

〈足のリンパマッサージ〉

リンパマッサージの基本は「下から上へ」ですが、マッサージの前に関節周囲をほぐして動かしておくことがポイントです。できるだけ直接皮フの上からおこなってください。

①左の膝を両手のひらで挟んで膝の裏をやさしくほぐす。

 

②手で挟んだまま膝から下を交互にぶらぶら前後に振る。10

③左の足首(下)から膝(上)に向かって両方の手のひらでさすっていく。 

筋肉をほぐすというより皮フを撫でる程度の強さで。左右を3回、ふくらはぎを3回。

④左の足首を上下にしっかり動かす。10回。

⑤手のひらや指の腹を使って、足の甲や裏をつま先から足首に向かってさすっていく。

 ここでも強く押しすぎないように。

 足の甲3回、足の裏3回。

⑥右も①~⑤を行う。

⑦最後にもう一度、両側の膝の関節と足首をよく動かす。歩行や屈伸運動で筋肉を使うとなおよい。


11回 「ウォーキング」

健康維持のためにウォーキング(散歩)を取り入れている人は多いと思います。最近はスマートフォンなどで歩数を計算できるアプリなども開発されていますが、まだまだ歩数計を使っている人も多いのではないでしょうか。ひと昔前は「11万歩!」という声がよく聞かれましたが、最近は少し異なった見解が出されています。歩きすぎはひざや腰を痛めるほか、免疫機能の低下につながることもあるということです。

75歳までの目安は、男性で1日に8000歩(うち20分を早歩きにする)、女性で1日に7000歩(うち15分を早歩きにする)が理想とされています。これは、高血圧や糖尿病の予防、サルコペニア予防につながるそうです。75歳をすぎたら5000歩で、このうち7.5分を早歩きにするのが目標となります。こちらは認知症予防に適しているといわれます。これらはあくまで目安となります。ご自身の身体状況や生活習慣、体格などでも適したウォーキング方法は異なります。例えば買い物で3000歩を歩いた日は、ウォーキングは5000歩で十分でしょう。肥満体型で腰や膝への負担が心配な人は、少しずつ歩数を増やしていくような方法がよいでしょう。

 

ウォーキングの“語”

理想のウォーキング姿勢をご紹介します。

1)背中をまっすぐ、空から頭を引っ張られているイメージです。横から見て、耳・肩・腰を結んだ線が一直線になるのが理想です。

2)あごを軽く引き、視線は15m先をまっすぐ見ましょう。

3)肘を軽く曲げて、とくに後ろへ引くことを意識しましょう。

4)前に出した足は、膝を伸ばして(かかと)から地面につきます。

5)体重を親指の付け根の方に移動させ、つま先で後ろへ蹴りだすことを意識します。

      

 

※病気やケガ等でこのような歩き方が難しい方は、適切な歩き方についてかかりつけの医師に相談して下さい。

 


第10回「うんちの姿勢」

直腸に便が溜められると便意を感じます。通常は肛門括約筋のはたらきなどによって排便を我慢することができます。便を出すときは直腸の収縮といきむ力が必要となります。排便に関わる筋肉はお腹の周りで内臓を取り囲むような構造になっています。便をしっかり出すために上から押し出す力と周りから腸に圧をかける力が必要になります。また下から支える力も重要といわれています。仰向けでお尻を上げるブリッジ体操で肛門をしめるように意識してみるのもいいでしょう。

 

もう一つ大事なことがうんちを出す姿勢です。まっすぐ寝ているときや立っているときは、直腸と肛門の角度は直角に近い角度になっていて便が出にくい仕組みになっているそうです。それが便器に座って前かがみの姿勢をとることでこの直腸肛門角度が変化して便が下りやすくなるのだそうです。

 

うんちの“語”

理想の排便姿勢は和式便器に座った形だそうです。しかし最近はほとんどが洋式便器です。洋式便器でもうんちを出しやすくするコツがあるので紹介します。

①足を接地する。かかとを上げてもよい。

②前かがみになる。太ももに肘をついてもよい。

③クッションを抱っこするのもよい。

 

「考える人」のポーズに似た格好と覚えてください。


第9回「運動と栄養~サルコペニア」

わたしはリハビリの専門職ですから、患者さんや利用者さんに対して運動指導をすることがいちばんの仕事です。しかし、その人が食事をあまりとらなかったり、好き嫌いが多く栄養が偏っている場合には注意しなくてはなりません。「サルコペニア」のリスクが高まるからです。

筋肉を作るためには、たんぱく質、糖質、ビタミンB群などの栄養素が必要です。これらが不足することで、筋肉が作られないばかりか、ひどいときには筋肉細胞を分解して必要なエネルギーを作り出されることもあります。ヒトは呼吸をしているだけでもエネルギーを消費する(基礎代謝)のに、運動でさらに筋肉に負荷がかかると、筋肉量がどんどん減少していきます。これをサルコペニアといいます。

 サルコペニアは筋肉量の減少による筋力低下とともに、活動意欲や体力低下にもつながります。バランスの良い食事をとることは、身体機能や運動能力の維持改善につながるのです。

 

 

サルコペニアの“語”

栄養の状態を簡単に調べる目安があります。

 

1)ふくらはぎの指輪っかテスト

人差し指と親指をくっつけて輪っかをつくります。

 

ふくらはぎの一番太い部分にあててみましょう。

    

指とふくらはぎの間に隙間が大きいほど危険度が高くなります。

 

2)体重減少(BMI

この数か月で体重が4.5㎏以上減少しており、かつBMI18.5未満であれば危険性があります。

BMI=体重(㎏)÷(身長(m)×身長(m))

例)身長170㎝体重60㎏の人

 

60÷(1.7×1.7)=約20.8

 

3)椅子立ち上がりテスト

 

椅子から5回続けて立ち上がるのに12秒以上かかれば危険性があります。

※これらはあくまで目安でほかにも方法があります。一つがあてはまったからといってサルコペニアと診断されるものではありません。ご心配な方は医師に相談し適切な診断を受けましょう。

 


第8回「腰痛」

腰痛には様々な原因があります。筋肉、神経、内臓、不安やストレスなど心理的原因の腰痛もあります。比較的若い人は、いわゆる“ぎっくり腰”という急性腰痛症が多く、一定期間の安静で症状は軽快します。しかし高齢者に起こる腰痛は、「腰部脊柱管狭窄症」、「変形性腰椎症」、「圧迫骨折」などが原因であることが多いです。これらは加齢によって生じる整形外科的疾患であり、腰痛を伴うと慢性的な症状となりやすいです。ヒトは二足歩行で生活する以上、腰に負担がかかることは避けられません。しかし、少しでも負担を軽くする動き方や予防体操を知っておくことで、ならなくてよい腰痛は防げることが期待できます。腰痛は重篤な疾患のサインの場合もあります。適切な医師の診察を受けましょう。

 

 

 

腰痛の“語”

 

今日から始める腰痛予防対策を少し紹介します。※予防体操はいつかどこかで紹介します。

 

〈姿勢〉

 

①「背中が丸いな。」と感じたら、雲の上から頭のてっぺんを引っ張ってもらうことを意識して背中を伸ばしましょう。壁にかかとと背中をつけて立ってみてもいいでしょう。頭が壁から離れすぎていませんか?   

   

 

 

 

②座っているときに骨盤が後ろにもたれていたら一度立ち上げましょう。

   

 

〈生活〉

 

①重い買い物袋は両手に分けて持てるようにしましょう。

   

 

②台所や洗面など立って行う作業は、低い椅子などに片足を置いて作業してみましょう。

   

 

ほかにも多くの予防策がインターネットなどでも紹介されています。自分合った、自分にできる予防を試してみましょう。


第7回「転倒」

年齢を重ねると筋力の低下やバランス能力の低下が起こります。転倒予防のために体操やトレーニングをされている方も多いと思います。それでも転倒によって骨折する高齢者がたくさんいます。地面に手をつけば手首や肩の骨折。尻もちをつけば腰や背中の骨折。横向きでは股関節(こかんせつ)の骨折などです。頭を強打すればもっと深刻なことにもなりかねません。転倒は高齢者に限らず誰でもあり得ることです。骨が丈夫であることも大切ですが、転倒したときの受け身の方法でもケガの部位や程度が変わります。そのためにもウォーキング、バランス体操や筋力トレーニングをおすすめします。

 

 

 

転倒の“語”

高齢者が転倒する原因にはいくつかあります。

1.    内的要因

筋力低下、薬の副作用によるふらつき、認知症など

2.    外的要因

すべりやすい床や階段などの環境、履物、天候など

薬が転倒の要因になることがあります。しかし薬は病気の治療のためですから、処方に従って正しく服用する必要があります。筋力などの身体機能低下はある程度の予防が可能ですが20年前の筋力を維持することは難しいです。しかし外的要因については、自宅内の環境を見直すことで転倒の危険を減らすことが可能です。畳や階段は滑りやすいので靴下を履いているときは特に注意しましょう。じゅうたんや布団で足をひっかける事故も多く報告されています。また部屋の整理整頓、結束バンドなどで電気コードをまとめることもおすすめです。高齢者の転倒はほとんどが自宅内で発生しています。「ここが危険だな。」「手すりをつけようかな。」と自宅の危険な場所をチェックされてはどうでしょうか。介護認定を受けている方は住宅改修の一部補助が受けられます。(※審査があります)担当ケアマネージャーさんまたはお近くの介護居宅支援事業所(ケアプランセンター)へご相談ください。


第6回「オーラルフレイル」

オーラルは「口腔の」、フレイルは「虚弱」という意味があります。つまり「オーラルフレイル」は、口の機能が低下することで衰え(老化)が進んだ状態ということです。「オーラルフレイル」は全身的な衰えにつながるといわれています。「オーラルフレイル」の状態に気づかずそのままにしておくと、要介護状態になるリスクが高くなるともいわれています。コロナ禍で外出する機会も減って、口のケアへの関心が少なくなっているという報告もあります。機関紙6月号で「口は健康の入り口」という特集がありました。かかりつけの歯医者さんをもって、定期的に口の中をチェックしてもらうだけでもフレイル予防は可能です。

 

オーラルフレイルの“語”

口の健康は筋力にも影響するということをご存じですか?

メジャーリーガーがガムを噛みながら打席に立つ場面はよく見られます。あれは、ボールを打つ瞬間に下半身を安定させ、バットからボールに強い力を伝達するためです。噛むことで脳が活性化され、筋力の発揮が増すことが報告されています。

歯周病になって歯茎が弱っていたり、義歯が合わずに咬み合わせが悪くなると、バランス能力の低下や転倒にもつながります。ほかにも認知機能、記憶力、ストレス、幸福感にもよい影響があるみたいです。

 

噛む力を保つことって「健康の宝石箱や~!」


第5回「手すり」

最近はリハビリのための入院をしても、国の医療制度にしたがって早期退院を余儀なくされることも増えています。わたしたちリハビリスタッフが入院患者さんの自宅に出向き、玄関、廊下、トイレ、浴室などを見て、手すりの種類や設置場所を指導させていただくことがあります。手すり設置工事は介護保険の認定を受けていれば、「住宅改修」という事前申請方法により一定の金額まで給付が受けられます。

 

手すりには場所や使い方によって様々なタイプがあります。(図1、図2)最近では工事をしなくても図3のように突っ張り型の手すりを設置する人も増えています。こちらは介護保険の「福祉用具貸与」という制度でレンタルできるようになっています。自宅で安全に移動ができるように、次々と新しい商品が出ています。手すりについてお困りの方は、ヘルスコープ本部ビル1階「ヘルスコープ福祉用具レンタルサービス事業所」へご相談ください。TEL06-6915-8859


1.玄関用手すり

2.L字型手すり

3.突っ張り型手すり

 

「手すり」の“語”

 リハビリスタッフが手すりをどこにつけるか、ご自宅へ訪問したときの対処法があります。その場で実際に立ち上がったり、歩いてもらうことです。そうすれば自然と手をのばしてつかまっている場所や、今にもつかまろうとしている場所があります。それから、よく転びそうになる場所があるかどうかを聞きます。「そこに手すりがあれば楽になるかもしれない。安全かもしれない。」と考えます。その後は業者さんやご家族と相談して、最終的に設置する場所を決定しています。日常的につかまっている場所は手すりが必要な場所かもしれません。

 

 

 


第4回「脳卒中の早期発見」

脳の血管がつまったり、破れたりすることで障害がおこる病気の総称です。「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」などがあります。障害される大きさや部位で症状が様々なことが特徴です。半身マヒや顔のゆがみなど身体に何らかの変化が生じる運動機能障害と、言葉がうまく話せないことや物品の使い方がわからなくなるなど目に見えない症状がおこる高次脳機能障害があります。

 

徐々に症状が進行することもありますが、突然発症することも少なくありません。後遺症の大きさに影響するため、早期発見・早期治療が重要とされています。

 

脳卒中の“語”

早期発見・早期治療のための“脳卒中のFAST”という簡単な指標があります。突然「片方の腕が上がらない」「話していることがおかしい」「急に立てなくなった」など、身近にいる人が「何かおかしい。」と感じて脳卒中を疑ったときに使います。

 

FFace):顔のゆがみがないか。どちらかの口角が下がっていないか。

 

AArm):手のひらを上に向けて両腕をまっすぐ肩の高さまで上げることができるか。どちらかの腕が落ちていかないか。

SSpeech):すらすらと喋ることができるか。また「今何月?」など簡単な質問にうまく答えることができるか。

TTime):何時に症状が出てきたか。少しでも早く治療が受けられるように。

 

 

いざという時にパッと見れるよう家のどこかに貼っておくことをおすすめします。ちなみにわたしの実家は冷蔵庫のドアに貼ってありますよ。

 

 


第3回「杖」

車いすのように杖にも種類があり、ケガの状態や程度によって使い分けします。

①T字杖

②四点杖

③松葉杖

④ロフストランド杖

 

杖の“語”

例えば「T字杖」とよばれるもっともメジャーな杖。いったいどちらの手に持つものなんでしょうか。

もし右のヒザに痛みがあって力が入りにくいとします。そのときは「左(反対側)の手で杖を持つ」のが正解です。

学生さんや患者さんに質問すると、「痛いほうが右なら右で持つ。」と答える人がいます。

ドラマや映画でも誤った持ち方を時々見ることがあります。

「歩く」という動作は、そのほとんどが片足ずつ交互に体を支える連続した動作です。

強い足であれば片足1本で体を支えることができますが、弱い足は杖の助けをもらう必要があります。

弱い足と杖で支えあって体重を支えることで強い足を持ち上げて前へ進むことができるのです。

ちなみに杖の長さは、杖をついたときに肘をほんの少し曲げた状態で持てるぐらいの位置が基準です。

長さに限らず、杖について不安や心配がある方、お近くのリハビリスタッフまでお気軽にご相談ください。

 


第2回「車いす その2」

最近は車いすも進化しており、①のように乗り移りのときに不要な部品が取り外しできるものや、

②のように寝たきりに近い人でも乗り移りができるものまであります。

  

 

車いすは介護保険でレンタルすることができます。1割負担の方でしたら普通の車いすで月額500円程度の負担です。

レンタルは不要になれば返却できますし、メンテナンスもしてもらえるので便利です。

座る人の身体機能や使用する場所等をふまえて適切な種類を選択します。

ケアマネージャーや福祉用具業者、そしてわたしたちリハビリの専門職にお気軽にご相談ください。

 

車いすの“語”②

車いすの乗り移りで起こりやすい転倒事故。足の力が入らなかったり、介助者とタイミングが合わなかったり。

ブレーキのかけ忘れも少なくありません。ちょっとした工夫で防げることもあります。

車いすとベッドの角度は30°ぐらいが理想です。

介助する側とされる側の息を合わせるために声かけは大切です。

また、部品に接触することで、気づいたら皮フや爪がはがれていたという事例もあります。

乗り移りの際は死角に十分注意してください。


第1回「車いす その1」

          

     

車いすには多くの種類があります。①と②は代表的なものです。違いがわかりますか?

大きく違う部分は車輪の大きさです。

①は車輪が大きく、外側に黒い輪がついています。この輪を握って自分で操作することができます。

②は介助用で車輪が小さく小回りがきくので、自宅内でも使いやすくなっています。

車いすは座面の前と後の中央部分を両手で引き上げると折りたたむことができます。

座面の左右を上から均等に押し下げると広げることができます。

このとき指を挟まないように気をつけてください。

 

車いすの“語”①

車いすは、背もたれと座面が後ろへ傾いている点が特徴です。

安定と安全を確保するためですが、反対にもたれてしまうことで、力の弱い人は上半身を前に起こしにくくなります。

食事はできるだけ普通の椅子に座って上手に食べましょう。