第13回「インナーマッスル~体幹Vol.2~」
10月号でお知らせしたように、今回も体幹のインナーマッスルトレーニングのご紹介です。
復習になりますが、インナーマッスルとは体の深層にある筋肉で、姿勢(脊柱)・関節の安定や内臓器官を保護する役割があります。正月番組をみながら一家団らんでゆっくりするのも大切ですが、運動不足にならないよう注意しましょう。自宅でできる簡単なトレーニングです。お孫さんとチャレンジしてみてもいいのではないでしょうか(^-^)
〈体幹のインナーマッスルトレーニングVol.2〉
お腹まわりのインナーマッスルには、背中側の脊柱を安定させる筋肉群、内臓を取り囲む腹筋群、下から支える骨盤底筋などがあります。
1)クランチ
①仰向けに寝て両膝を立てます。
②おへそを見にいくように頭を持ち上げます。
③「1,2,3」と声に出しながらゆっくり上げ、「4,5,6,」で下げます。
④手はお腹においても、膝に向かって伸ばしてもけっこうです。
⑤10回1セットで1~3セット
2)ヒップリフト
①仰向けに寝て両膝を立てます。
②腰を床につけた状態から「1,2,3,4,5」と声を出しながらゆっくりお尻を上げます。
③太ももと上半身がなるべく直線になるようにして止めます。
④「1,2,3,4,5」と声に出しながらお尻を下ろしていきます。
⑤10回1セットで1~3セット
3)ヒップウォーク
①腕を組んで両足を伸ばして床に座ります。
②腰の右側を上げながら右足を前方に押し出して前進します。
③同じように左側を押し出して前進します。
④左右交互に10歩前進します。
⑤反対に10歩後退して元に戻ります。
⑥難しい人は足を曲げた状態で行ってみてください。
第12回「インナーマッスル~体幹~」
筋肉は体の表面から形が見えやすいアウターマッスルと表面からは見えにくい深層のインナーマッスルに分けることができます。このコーナーで紹介してきたような一般的なトレーニングは、大殿筋や大腿四頭筋など、表面から形が見えやすいアウターマッスルをねらったものが多かったです。アウターマッスルの役割は大きな力を発揮したり、素早い運動を可能にすることです。これに対してインナーマッスルの役割は、姿勢(脊柱)や関節の安定、また内臓器官の保護といったものがあります。もちろんインナーマッスルも加齢とともに機能低下がすすむことがあります。そうすると姿勢が悪くなったり、関節に負担がかかったりすることにつながります。
〈体幹のインナーマッスルトレーニングVol.1〉
お腹まわりのインナーマッスルには、背中側の脊柱を安定させる筋肉群、内臓を取り囲む腹筋群、下から支える骨盤底筋などがあります。今月号と次々月号の2回に分けてご紹介します。
1)ドローイン
①仰向けに寝てお腹に両手を置き、膝を立てます。
②息をゆっくり吐きお腹を凹ませます。
③いっぱい吐ききったらその状態のままで浅い呼吸を10~30秒おこない元に戻ります。
④腰を反らずに床に押し当てることを意識しましょう。
2)バードドッグ
①四つ這いになります。
②右手と左足を図のように上げた状態で10秒間キープします。
③反対の手足も同じように行います。
④上半身の軸がぶれないように意識しましょう。
⑤手足同時が難しい方はどちらか一方でやってみましょう。
3)プランク
①写真のように両ひじと両足の4点で体を支えます。
②お腹を凹ませて全身がなるべく直線になるように20秒間支えてみましょう。
③難しい方は膝をつけてやってみましょう。
第11回「脱ロコモティブシンドローム~大腿四頭筋~」
みなさんは階段を上がるときと下りるとき、どちらの方が辛いでしょうか?おそらく若い年代の人は上がるときと答える人が多いでしょう。むしろ「下りるときは何ともない。」という人も多いと思います。ところが50歳、60歳を過ぎ徐々に筋力が低下すると、逆に下りるときの方が辛くなる人が多くなります。辛いというより「怖い」という声もよく聞かれます。筋力が低下している人が階段を上がるときは、上半身を前側に倒すことで勢いをつけて「よっこいしょ!」と上がります。下りるときはどうでしょうか。勢いをつけることはしませんよね。反対に上半身を後ろにそったっり横を向いて落ちないようにそろりそろりと下りませんか。
階段を下りるときに最も必要な筋力の一つは大腿四頭筋という太ももの前側にある大きな筋肉です。階段を上がるときにも大腿四頭筋は必要ですが、より強い筋力が求められるのは実は階段を下りるときなのです。つまり大腿四頭筋を鍛えるには階段を上がるより下りることを利用する方が効果があるのです。これは筋肉の「遠心性収縮」という、伸ばされながら縮もうとする力を利用したものです。今回は太ももにある大腿四頭筋の「遠心性収縮」を利用したトレーニングの紹介です。
〈自宅でできる大腿四頭筋の遠心性収縮トレーニング〉
1)~3)のどれも下方向へ動くときが遠心性収縮です。すべてゆっくり行うことがポイントです。
1)段差下り(難易度:高)
①階段の上に両足を揃えて立ちます。できるだけ手すりや壁を持ちましょう。
②右足を前に出し2~3秒かけて1段下にそ~っと下ろします。
③左足を前に出し2~3秒かけて1段下にそ~っと下ろします。
※手すりがない場合や階段が怖い人は15~20㎝程度の踏み台や階段の1段目だけ使用してください。その際は下ろした足を上げて繰り返し行ってください。(上げるときもキツイですが)
2)座り込み(難易度:低)
①椅子の前で両手を胸の前で組み、足を肩幅に開いて立ちます。
②少し上半身を前傾し、5秒かけてゆ~っくり座っていきます。
③立ち上がって②を繰り返します。
④自信がある人は立つときも5秒かけてみたり、お尻がつく直前で止めて立つのもより効果的です。
※どの運動も膝関節に大きな負荷がかかります。痛みがある人や不安な人は医師に相談してください。また運動することで痛みが生じたりひどくなった場合はすみやかに中止してください。
第10回「脱ロコモティブシンドローム~肩関節~」
両手をバンザイできますか?両手はしっかり空に向かって伸びていますでしょうか。左右で差がありませんか?腕を上げる(挙上)という動作は肩の関節の柔軟性が関わっています。肩の関節は上腕骨と肩甲骨という2つの骨で構成されます。(図1)この上腕骨が上を向いたり下を向くのが腕の動きです。そしてしっかりとバンザイするには、上腕骨だけでなく肩甲骨も動かす必要があります。(図2)
肩甲骨のまわりの柔軟性がないと、しっかり腕が上がらないだけでなく、猫背になりやすかったり、肩こりの原因にもなります。姿勢が悪い状態で歩くと、バランスもとりづらくなり転倒のリスクも高くなります。
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図1.肩関節
図2.背中側から見た腕の挙上
〈簡単にできる肩関節の柔軟体操〉
まず1)と2)で肩まわりをリラックスさせてください。3)4)5)は全部でなくてもけっこうです。
1)両肩ほぐし
①左右の方を上方向に上げる。
②力をぬいてストンと両肩を落とす。
③3回行う。
2)肩まわし
①前から後ろに肩を3回まわす。
②腕は下ろした状態で肩甲骨~背中が動くように意識する。
③反対方向もまわす。
3)肩ぶらぶら
①テーブルに片手をつき腰を曲げて前かがみになる。
②反対の腕を下ろす。
③できるだけ力をぬいて腕を振り子のように前後左右に10秒揺らす。
④反対の腕も行う。
※腰痛がある人は注意してください。
4)腕の挙上(立位)
①壁に向かって立つ。
②右手の人差し指と中指を壁にあて、這い上がるように腕を上げていく。
③限界まで上がったらそこで10~15秒キープする。3回行う。
④左手も行う。
⑤横向きで行うのもよい。
5)腕の挙上(座位)
①正座する。
②両手を床におき、腕を伸ばしたままおじぎをして手を前方向に滑らす。
③限界までおじぎをしたら10~15秒キープする。
④3回行う。
(椅子に座って広めのテーブルの上でも可能です。)
※腰痛がある人は注意してください。
第9回「脱ロコモティブシンドローム~バランス~」
「バランス」という言葉を聞くと、みなさんは何をイメージするでしょう。両手を広げた案山子がまっすぐ立っている姿でしょうか。サーカスでボールに乗っているピエロでしょうか。じっと動かないように姿勢を保つバランスを静的バランスといいます。今回みなさんにお伝えしたいのは、動きながら姿勢を保つ動的バランスで、その中でも姿勢が崩れたときに起こる「立ち直り」という反応です。
わたしたちは、じっと立っているように見えても「立ち直り反応」で転ばないように姿勢を保持しています。歩く・走るとなると、この「立ち直り反応」が大活躍します。でこぼこ道の上でも、つまずきそうになっても、「次のステップをどう出すか。」「体をどう傾けるか。」瞬時に感覚機能や神経、筋肉が反応します。足首(足関節)や股関節・筋肉などを調整しながら、転ばないように体の角度や動きをコントロールします。
年齢を重ねるとどうしても神経の反応が遅くなったり、筋力が低下して反応に追い付かず転んでしまうこともあります。また円背になって重心が後方に傾くと、かかとの方で体を支えざるをえなくなってしまい、体の動きが狭くなることもあります。とくに足関節でのバランス調整機能が低下して、膝関節や股関節に余分な負担がかかり痛みの原因になることもあるそうです。
〈簡単にできるバランストレーニング〉
最近はホームセンターでもエクササイズ用のバランスマットやボールなどを購入することもできます。ここでは専用道具を使用せずにできるトレーニング方法を紹介します。すべて立った姿勢で行います。転倒の危険性がある方は、必ずなにかにつかまって行うか誰かに支えてもらってください。若い方、自信のある方は、座布団やクッションなど不安定な物の上で行うと効果が上がります。
①片足立ち
図は省略します。ポイントとしては、かかとよりも少し前に重心が乗り続けるように意識しましょう。
②かかと上げ
立ったまま両側のかかとを上げてつま先のほうで姿勢を維持します。(10秒×3回)
③つま先上げ
立ったまま両側のつま先を上げてかかとで姿勢を維持します。(10秒×3回)
④足継ぎ歩行
両足を前後に重ねながら歩きます。つま先とかかとがくっつく感じですね。畳やフローリングの木目に合わせるとよいでしょう。(3~5m程度×3往復)
⑤交差歩行
右足を左足の前を越えて交差します。左足を開いて元の姿勢に戻ります。繰り返し左側へ移動します。
逆の動きをしながら右側へ移動して元の位置に戻ります。(3~5m程度×3往復)
第8回「脱ロコモティブシンドローム~膝~」
膝関節には身体を支えるという大きな役割があります。例えば歩く時に交互に足を出しますが、片方の足を出す間は反対の足が体重を支えていることになります。このときに支えている膝関節には体重の3倍程度の負担がかかっているといわれています。そして関節軟骨や半月板、周りの筋肉がその衝撃を吸収しています。
膝の関節軟骨がすり減って痛みが生じるといわれる変形性膝関節症は高齢になるほど発症しやすくなります。膝が痛くなると歩くのもイヤになり、外出することが減って全身の活動量まで低下することになりかねません。これによって筋力だけでなく持久力も低下し、なかには体重だけは増える人もいます。これではますます全身に負担がかかることになります。この悪循環によって閉じこもりや気持ちの落ち込みにもつながって介護が必要な状態になってしまいます。
〈膝周囲の筋力トレーニング〉
方法はたくさんありますが、ほんの一部を紹介します。
自分に合いそうな方法を選んでください。③は上級者向けです。
1)マッスルセッティング
①足を延ばして座ります。
②バスタオルを丸めて膝の下に敷きます。
③両手を少し後ろについて、膝の裏でタオルを5秒間押し付けます。
④左右10回ずつ行います。
(ポイント)
太ももの前側が固くなり力が入っていることを感じてください。
2)ストレートレッグレイジング
①あおむけに寝ます。
②左の膝を立てておきます。
③右足をまっすぐ伸ばしたまま床から20~30㎝ぐらい3秒かけて持ち上げます。
④あげた状態のまま3秒数えたら、3秒かけてゆっくり下ろします。
⑤左右10回ずつ行います。
(ポイント)
つま先はなるべく上~手前に向けるようにして行いましょう。
ドスンと下ろさないようにしましょう。
3)ハーフスクワット
①椅子に座ります。
②両手は胸の前で組んでおきます。
③上半身を倒しながら立ち上がっていきます。
④お尻が10㎝ぐらい上がったところで10秒間止めます。
⑤ゆっくり座ります。
(ポイント)
止める時間は少なくても大丈夫です。自分の筋力に合わせましょう。
腰にも負担がかかります。腰痛ある人は注意してください。
第7回「姿勢をよくする 背筋」
トレーニングで腹筋を鍛えることは多くの人が理解されていると思います。反対に目に見えない背中側の筋肉は軽視されがちです。しかし、ヒトがまっすぐ立つために背中の筋肉は非常に重要な役割をもっています。つまり背筋が低下することで姿勢が悪くなり猫背になりやすいと言えます。姿勢がよくなると腕もしっかり上がるようになり、できる動作が増えることでしょう。また腹筋とのバランスが悪くなると腰痛の原因にもなります。背筋群の一つ一つに厚みはありませんが、広範囲に広がっている大小の筋肉の集まりです。筋肉量が多いので、しっかり鍛えておくことで基礎代謝の維持にもつながります。
〈かんたん背筋トレーニング〉
1.座って行う方法 難易度:低
椅子に腰かけ座面の両端を持ちます。
背もたれにはもたれないでください。
体が後ろに倒れないように両方の足を少し上げ10秒間キープしてください。
3セット行います。
2.寝て行う方法 難易度:低
仰向けに寝ます。
両手は体の横につくか、お腹にのせます。
お尻をあげて上半身と太ももができるだけまっすぐになるように10秒間キープしてください。
3セット行います。
背中まで持ち上がることが大切です。
3.四つ這いで行う方法 難易度:高
両手両膝をつきます。
右手と左足をそれぞれ図のように水平に上げて10秒間キープします。
反対側の手足を同じようにします。
両側3セットずつ行います。
背中が反ったりしないようなるべく直線に保ってください。
※姿勢は筋肉だけでなく骨や関節の状態も影響しています。トレーニングが効果を保障するものではありません。腰痛がある方は誤ったトレーニングをすることで悪化する場合もあります。症状に異常がみられたらただちにトレーニングを中止してください。
膝から下を下腿といいますが、その後ろ側には腓腹筋(外側と内側)とヒラメ筋という筋肉があります。これらの総称が“下腿三頭筋”です。いわゆる「ふくらはぎ」と呼ばれる部分です。図の赤い部分が筋肉です。3つの筋肉は下の方で重なり合い、「アキレス腱」となって踵の骨につきます。
下腿三頭筋は「第2の心臓」とも言われ、血液のポンプのような働きもする重要な筋肉です。立っている状態では常にヒラメ筋が働いてバランスを保っているため、疲れがたまりやすいこともあります。夜中に「こむら返り」を経験したことがある人は多いと思います。原因は、冷え、疲労、水分不足、ミネラルバランスの崩れ、運動不足による筋力の衰えなど様々です。下腿三頭筋を鍛えることによって、バランス低下の予防はもちろん、血液循環を改善し、疲労物質の蓄積を予防することも期待できます。
“いっかくせん筋”⑥
〈かんたん下腿三頭筋トレーニング〉
1.座って行う方法
椅子に座り踵を上げ下げしましょう。
2秒に1回程度のスピードで20~30回
体重がのらないので、筋肉へ強い負荷はかかりません。それでも筋肉は収縮しますので、循環の改善には効果があります。
2.立って行う方法
つま先立ち、つまり背伸びをすることで強く筋肉を働かせることができます。
足を肩幅に広げて立った状態から踵を上げ下げすることを繰り返しましょう。
3秒に1回程度のスピードで10~30回
ゆっくり3秒かけて上げ、1秒キープ、3秒かけて下ろすと効果が増大します。
〈ポイント〉
バランスを崩すことがあるため、椅子やテーブルに手を添えて行うことをおすすめします。
天井から頭のてっぺんを吊り上げられているようなイメージで真上に伸び上がりましょう。
椅子やテーブルにもたれていくと効果が減ります。
全体重がつま先にかかって筋肉に強い負担がかかります。回数やスピードは無理のない範囲で調整してください。
「大腿四頭筋」とは、太ももの前側にある縦に長い四つの筋肉の総称です。ヒザを伸ばすことがおもなはたらきですが、運動中や動作中のヒザのコントロールにも大切な役目を果たします。この筋肉は全身の中でも最強と言われております。大きいだけに基礎代謝の向上にも役立ちます。反対に弱くなるとヒザ関節の悪化や転倒につながりやすいと言われています。椅子から立ち上がる時に何かにつかまって「よっこらせっ。」と声が漏れていませんか?これも「大腿四頭筋」の筋力低下の可能性があります。「大腿四頭筋」は歩くだけでもしっかり働きます。
“いっかくせん筋”⑤
〈大腿四頭筋の筋力トレーニング〉
1)と2)は高齢の方向け、3)は若年者向けです。
※変形性膝関節症などヒザに問題がある人は医師にご相談のうえ実施してください。
1)座って行う方法(普段からヒザに痛みがある人)
①椅子に浅めに座って両手は座面につける。
②片方の足を3つ数えながらゆっくり伸ばす。
③つま先をしっかり上に向けながら手前に引きつけるようにヒザ周囲に力を入れる。
④1秒キープ。
⑤3つ数えながらゆっくり下ろす。
⑥左右10回ずつ行う。
2)立って行う方法A(スクワット)
①椅子の背もたれやテーブルに両手をおく。
②つま先を前方に向ける。
③両ヒザを曲げながら3つ数えながらゆっくり腰を下ろす。
④3つ数えながらゆっくり元に戻す。
⑤10回1セットとし、休憩を挟んで2セット行う。
(ポイント)
ヒザが前に出すぎないこと、頭が前に倒れすぎないように。
ヒザを曲げる角度は45~60度程度まで。
↑これは膝を曲げすぎ、上半身を倒しすぎです。
3)立って行う方法B(フォワードランジ)
①立った状態から両手を腰にあてる。
②片方の足を一歩前に出し、出した方の足に3つ数えながらゆっくりと体重を乗せていく。
③3つ数えながら乗せた体重を減らしていき、両足をそろえる。
④反対の足も同じように行う。
⑤左右10回ずつ行う。
(ポイント)
腰をそらすのではなく、少し前かがみの状態でグーッと体重を乗せるようなイメージで。
↑腰をそりすぎて体重が乗ってきません。
前回の「大殿筋」が腰の後ろ(お尻)だったのに対し、腰の左右外側にある筋肉を「中殿筋」といいます。骨盤と太ももの骨(大腿骨)をつないで、まっすぐ立った時の体のバランスを安定させる大切な筋肉です。両足を少し開いて立っているときは平気なのに、足を閉じたり、片足で立つと急によろめくことはありませんか?そんな時に中殿筋は活躍するのです。
“いっかくせん筋”④
〈かんたん中殿筋トレーニング〉
1.寝る方法
①枕に頭をのせて横向きに寝る。骨盤はしっかり立て、下側の足は曲げておく。
②天井側の足を伸ばし、膝とつま先を前に向けたまま、まっすぐ天井方向に向けて腰の高さまで持ち上げます。3秒かけて上げ、3秒かけてゆっくり下ろします。左右10回ずつ行いましょう。
③図のようにつま先が上に向いていたり、足全体を斜め方向に上げないように注意しましょう。
2.立つ方法
①片足立ちで10秒バランスよくキープします。支えている足と上半身がなるべく直線に近づくように保ちます。支えている側の中殿筋がはたらきます。左右それぞれ3セット行いましょう。
②図のように、姿勢をまっすぐ保ちにくい人は中殿筋が弱くなっている証拠かもしれません。
転倒予防のために支えることができるものを準備しましょう。
いわゆる“お尻”といわれる部分のいちばん表面にある筋肉です。目に見えるお尻の形が大殿筋そのものといえます。単体としては身体の中で最も大きい筋肉です。歩くときにも使われますが、スポーツなどのダイナミックな動作のときにより強くはたらきます。また大きい分、老化がすすむと形の変化も目立ちます。きれいな姿勢を維持するためにも鍛えることをおすすめします。
“いっかくせん筋”③
〈かんたん大殿筋トレーニング〉
1~4のどの方法も3秒かけてお尻を上げ、10秒止め、3秒かけて下ろします。息を止めずに数字を数えながら行ってください。太ももと体が一直線に近いほど効果的です。朝と晩に10回ずつから始めましょう。
1.両足で行う方法
両膝を90°ぐらい曲げて仰向けになる。 。
お尻を上方に持ち上げる
2.片足で行う方法1
片方の足を組んで仰向けになる。
お尻を上方に持ち上げる。
3.片足で行う方法2
片方の足をまっすぐ伸ばして浮かす。
お尻を上方に持ち上げる。
4.足を下げて行う方法
両足が背中より低い位置にある仰向けとなる。
お尻を上方に持ち上げる。
(ポイント)
両手は床に置くと背中の筋肉も使ってしまうので腹や胸の上で組みますが、きつく感じたら床に置いてもけっこうです。それぞれ加わる強さが異なります。自分に合った方法を選んでください。膝が痛くない若い人は3と4を組み合わせてみてください。
今回は「腸腰筋」という、聞きなれない筋肉についてです。
腸腰筋は「大腰筋」と「腸骨筋」からなる総称で、“深腹筋”とも呼ばれます。
腹筋とは違って体の外側から見たり触ったりできません。
しかし、唯一上半身と下半身をつなげている筋肉なので姿勢やバランス力に関係する重要な筋肉とも言えます。
階段を上がるときのように、太ももや膝を持ち上げるはたらきがあります。
腸腰筋が弱くなってくると、段差でつまずいたり、つまずいたときのバランスがとりにくくなったりします。
また姿勢が悪くなり腰痛の原因にもなります。
“いっかくせん筋”②
〈座ってできる腸腰筋トレーニング〉
① 椅子に浅く腰かける。できるだけ姿勢よく骨盤を立てて座る。
② 両手で右の太ももの上に手をあてる。同時に手は上から押し下げ、太ももは下から持ち上げる。手と足が力比べしている感じです。
③ 力比べの状態で「1・2・3・4・5」と声に出してから力を抜く。
これを左右10回ずつ行ってください。
(ポイント)
左右10回ずつ1日に2~3セット行いましょう。
背中がもたれると骨盤も倒れて違う筋肉もはたらいてしまいます。
腰が痛い人はもたれながらでも大丈夫です。
少し足が浮くぐらいがちょうどいいでしょう。
お腹にある筋肉といえば、ボディビルダーのような6つに割れた腹直筋を思い出す人が多いと思います。
しかし腹直筋はお腹の前側表面にあるだけで、腹斜筋や腹横筋など外側や奥にも別の筋肉があります。
腹筋の役割は、起きるときに上半身を持ち上げることや内臓の保護です。
また腹筋が弱くなりすぎると骨盤の傾きが変化して腰痛や腰椎すべり症などの原因になることがあります。
だから良い姿勢を保つことや腰痛予防に有効です。
また腸の運動にも影響しますので、便秘予防にも効果があります。
筋肉マッチョにならなくても、適度に鍛える程度で十分です。
ちなみに腹筋運動だけではシックスパックにも、くびれのある腰にもなりません。
“いっかくせん筋”①
〈座ってできる腹筋トレーニング〉
腹筋運動といえば仰向けになって上半身を起こしていく方法が一般的ですが、高齢者や腹筋の弱さを自覚している人などには向いていません。
今回は座ったままできる腹筋のトレーニングを紹介します。
① 椅子に浅く腰かける。骨盤と背中をなるべくまっすぐ立てる。お腹に両手をあてる。
②口から息を吐きながら上半身を10~20度後ろにゆっくり3秒かけて倒す。
③息を吸って、ゆっくり吐きながら3秒かけて元に戻す。
(ポイント)
10回ずつ食事前など1日に2~3セット行いましょう。
腰が丸くならないように伸びたまま倒すのがポイントです。
息を吐くときは数を声に出してもいいでしょう。慣れてきたら少し斜め方向や捻りながら倒してみてください。
戻すときよりも倒すときのほうがトレーニングに有効な運動です。
倒しすぎると足が床から離れ、筋肉にかかる負荷が急に強くなります。
倒す角度や回数はできる範囲で調整してください。
無理をすると反対に腰痛を引き起こすことがありますので注意してください。